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首都博物館(北京) [博物館]

 11月22日~25日の3泊で、中国北京へ行ってきた。
 今回の一番の目的は、資料となる本の購入と、北京市の首都博物館を見ること。
 首都博物館は、以前は北京市街地北部・雍和宮近くにあって、収蔵品は素晴らしいものを数多く持つが、孔子廟・国士監の建物内部を改装した小規模な博物館で、充分な展示ができないのが玉にキズだった。
 ところがこの首都博物館、今年から、北京市街地西部の復興門外大街に大規模な新博物館を新築してリニューアルオープンした。これをぜひ見てみたい、とおもって出かけたのだ。なんと、驚くほど巨大な博物館で、地上6階・地下1階の7フロアにわたる。エントランスフロアは広大な吹き抜けになっており、両側に6層の展示室がある。
 右側は、主に北京の歴史を紹介する展示楼。考古資料・伝統的文化や歴史資料の展示室、古都北京の歴史的城市の展示室、京劇資料展示と実物大復元の劇場、古き良き北京の懐かしい風景と生活風俗の展示室といった構成だ。復元劇場では、ときおり短時間の京劇が実演されるそうだ。これら一連の展示室をみることで、北京の歴史や伝統文化を具体的に実感することができる。ひとつの都市の歴史や文化を、これほど如実に特色づけ、印象的に、しかも飽きさせずに見せる博物館は、中国では他にないだろうし、日本にさえもきわめて少ないだろう。また考古資料のある展示室では、これまで未公表の資料を多くふくむ多くの重要な考古資料を見ることができ、個人的には感激した。
 つぎに左側の展示楼。こちらは首都博物館の収蔵品を圧倒的に見せつける。絵画室、書法芸術室、燕地域の青銅器室、玉器室、書斎玩珍室に分かれ、螺旋状の通路で上層から下層へとつながっている。また磁器・仏像展示室は右展示楼にあり、左展示楼と一連の展示である。北京一帯は西周期の琉璃河遺跡など燕国の文化が古くから開けた地域でもあり、青銅器は見応えがある。個人的関心では、仏像展示室で南北朝期の仏像を意外に多く見ることができたのが嬉しかった。
 さらにこの一階にはデジタル映像室があり、地下一階には体験講座室(電動轆轤が複数台置いてある部屋もあった!)、喫茶、書店があって、施設は非常に充実している。
 いずれにしても首都博物館は、首都・北京市の誇る博物館として申し分ないものだ。体験講座室などは、これまでにない新しい意識にもとづいたものだし、今後も大いに発展していくことだろう。北京に旅行する人には、一見の価値ある、おすすめ博物館だ。
 しかし・・・博物館が巨大で展示室が多すぎる!嬉しい悲鳴というべきだろうか、急ぎ足で2時間以上かかった。じっくりとまわれば、見るのに丸1日かかってしまうだろう。僕は故宮を歩いた後で来たので、途中からへとへとだった・・・。


シルクロード [博物館]

  祝日だった23日金曜日、「新 シルクロード」展に行った。神戸の灘にある兵庫県立美術館だ。
 どうやらNHKの同名番組にのっとった特別展らしい。展示は、「楼蘭」「タクラマカン」「天山南路」「天山北路とトルファン」「西安・永遠の都」の五部構成。シルクロードのルートを、おおむね西安にむかってたどりながら、それぞれの地域の特色を紹介していくという展示の見せ方がなかなか好かった。たいていの特別展だと、「シルクロード」という呼称で地域をひとまとめにして、仏教とか、王国の繁栄とか、そういった文化的要素で構成を分けていくことが多いようにおもう。その点で、今回の展示は斬新に感じたし、「シルクロード」というのがどんな世界だったのかが、小地域ごとの特色ある文化と歴史の集合として理解でき、わかりやすいとおもった。NHKの同番組は旧シリーズのときから人気や評判が高かったが、今回の特別展は、そういう映像番組的な感覚で展示をとらえ構成してみたということだろうか。ただ貴重なもの・珍しいものをみせる方にやや走った感はあり、欲をいえば、せっかく地域的特色に即して構成したのだから、もう少し各部の内容を充実させてほしかった。
 しかし全体としては、シルクロードの風を感じられ、面白かったし、図録も写真が大きく迫力があったので、好い特別展だった。まだ見ていない方は、ぜひ出かけてみては、とおもう。
 ちなみに、兵庫県立美術館のカフェで、「メリケンビール」という地ビールを飲んだが、これがおいしかったのもよかった。展示と関係ないですが。


今秋の名古屋は古墳時代満載です [博物館]

 まもなく10月から、名古屋市博物館で特別展がはじまる。
 題して『古墳はなぜつくられたのか 古代濃尾の王と民衆』。

 展示を担当したのは、僕と同世代で何かと頼りにしている名古屋市博物館の学芸員、S君だ。
濃尾地域を中心に100以上の古墳と遺跡からの出土品を収集して、濃尾における古墳の出現から終焉までを説き明かす展示で、詳しいことは僕も聞いていないが、なかなかの力作のようだ。ぜひたくさんの人に見に来てもらいたい。
 そこで再度、宣伝。

特別展『古墳はなぜつくられたのか 古代濃尾の王と民衆』
平成17年10月1日(土)~11月6日(日) 名古屋市博物館にて!!

 ところでその展示期間と重なって、僕は志段味大塚古墳をはじめとする濃尾でも代表的な古墳の発掘調査をする。とくに研究者の皆さんには、展示を見に名古屋に来たついでに、僕の調査現場にもぜひ立ち寄ってもらいたいものだ。現地の古墳と風景を見て、展示と重ねてもらえれば、よりイメージも湧くことだろう。こちらもぜひ!見に来てください!
 
 この秋の名古屋は珍しく、古墳時代研究で実りある季節になりそうで、楽しみだ。


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