浙江訪問(2)―紹興・印山越王陵(その1) [中国]
さて先月、杭州へ行った折、紹興まで足を伸ばしてきた。
どうしても、印山越王陵を見てみたかったのだ。
印山越王陵は、その名のとおり、春秋越の王陵である。「木客大冢」の名で呼ばれる。
有名な越王勾踐の父・允常の墓とする説もあるが、被葬者は明らかではない。近隣に、ほかにも3基の大型墓があるようだが、それらは発掘調査されていない。
写真ではこの越王陵を見ていたのだが、行ってみると、とにかく巨大な墳丘である。墳丘はおおむね方墳といってよく、周囲に幅20数mの周濠がめぐり、各辺の中央部に幅広い陸橋を備えている。その墓域面積たるや、じつに10万㎡という。
さらに本当に驚いたのは、その想像を絶する壮大な埋葬施設!合掌形の木槨(室)墓なのだが、写真のイメージを遥かに越える。視界に入った瞬間、思わず「うおっ・・・!」と言ったまま、言葉を失った。
墓坑は、掘り方上端の計測値で、長さ46m・幅14m・深さ12.5m。そして片方の短辺が開いており、長さ100mの墓道がとりつく。
墓坑底に厚さ約1mの木炭を敷き、その上に巨大な合掌形木槨(室)を据えている。この木槨(室)の規模は、長さ34.8m・幅6.7m・高さ5m。この内部は3つの空間に分割され、奥室に長さ6.1m・直径1.15mの巨大な、刳り抜きの舟形ないし割竹形の木棺が安置されている。さらにこの木槨の外側全体を、やはり厚さ約1mの木炭が覆っていた。現在の保存展示でも、部分的に厚い木炭層をみることができる。
この壮大な埋葬施設に、しばし呆然とした。
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