このあいだ読んだ本 [本の紹介]
村田雄二郎+C・ラマール編 『漢字圏の近代 ことばと国家』 (東京大学出版会、2005年)
少し前、8月ごろに、去年買ってほったらかしにしていたこの本を読んだ。国家や民族、あるいは地域といった集団性をもつ集合に生まれるアイデンティティの源泉としての「ことば」について、その近代における政治性とナショナリズム、ジェンダー、大衆への「ことば」の普及、西洋文明との対比を10名の著者がそれぞれに論じている。近現代的なこれらの問題を、「漢字圏」という世界の近代史として論じ、漢字文化の原点である中国を中心としつつも、台湾、朝鮮・韓国、ベトナム、日本との比較をしながら展開する本書は、読んでいてとてもおもしろかった。
なかでも言葉とナショナリズム・国家支配の関係性や、漢字文化を「国語」の基礎体系とする世界からの離脱あるいはその咀嚼、地域語の顕在化といったテーマを論じた部分は、世界史的視野で天下国家を論じようとする歴史・考古研究においても共感できるもので、非常に興味深いものだった。ことにアイデンティティ、集合意識とは何か、「国語」とは何か、その見えないシステムを明確にし、また問いかけるところは、深く考えさせられるものがあった。
少し前、8月ごろに、去年買ってほったらかしにしていたこの本を読んだ。国家や民族、あるいは地域といった集団性をもつ集合に生まれるアイデンティティの源泉としての「ことば」について、その近代における政治性とナショナリズム、ジェンダー、大衆への「ことば」の普及、西洋文明との対比を10名の著者がそれぞれに論じている。近現代的なこれらの問題を、「漢字圏」という世界の近代史として論じ、漢字文化の原点である中国を中心としつつも、台湾、朝鮮・韓国、ベトナム、日本との比較をしながら展開する本書は、読んでいてとてもおもしろかった。
なかでも言葉とナショナリズム・国家支配の関係性や、漢字文化を「国語」の基礎体系とする世界からの離脱あるいはその咀嚼、地域語の顕在化といったテーマを論じた部分は、世界史的視野で天下国家を論じようとする歴史・考古研究においても共感できるもので、非常に興味深いものだった。ことにアイデンティティ、集合意識とは何か、「国語」とは何か、その見えないシステムを明確にし、また問いかけるところは、深く考えさせられるものがあった。
コメント 0