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チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展 [博物館]

中国・内モンゴル自治区博物館所蔵 チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展』
 名古屋・松坂屋美術館で開催中の『チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展』を見てきた。menggu.jpgmenggu2.jpg
 チラシを見て、漢~北朝期の匈奴・鮮卑の金製装身具が展示されることを知り、これはぜひ見に行かねばと思っていたが、今回もまたもや気がついたら会期末が近くなっていた。チラシのようすやタイトルからして、きっとモンゴル帝国期以降の衣装や家具、陶磁器などが中心で考古資料は少しある程度だろうと思っていたので、目当ての金器さえ見られればいいという気持ちで出かけた。
 ところが実際の展示は嬉しいかたちで期待を裏切ってくれた。なんと半分以上は出土文物で、目当てにしていた品々以外に、東胡、匈奴、鮮卑の文化の青銅器や金器、遼朝の金銀器や金銀製葬具・馬具、モンゴル帝国~元朝期の金製馬具や銅製甲が展示されていた。各時代の展示品はけっして多いとはいえないが、西周~元朝にいたる中国北方遊牧民族の歴史的な流れを出土文物でたどることができる、めったにない機会だった。非常に勉強になる興味深い展示である。
 また、目当ての漢~北朝期の匈奴・鮮卑の金製装身具は、匈奴の鷹形飾付き帯状冠、鮮卑の枝状立飾付き獣首形冠飾や、中国の考古学界では「五兵佩」とよばれる武器形装飾付きの龍首飾佩など、優品であるのはもちろん、なかなか実際に見る機会の少ない貴重な文物ばかりだ。そのすぐれた細金細工を仔細に観察することができたし、金製装飾に用いられたトルコ石の来歴もあらためて考えた。またこれらの北方草原遊牧民族の中華民族との接触や、金銀器製作環境についても深く考え直させられた。図録を見ながら、もう一度じっくりと考えをめぐらせてみることにしたい。menggucatalogue.jpg
 あまり派手な宣伝活動もされていないような印象があるが、北方草原遊牧民族や古代東アジアの文化に興味のある人には非常にオススメだ。ひとつ難を言えば、出土文物の時代など、キャプションに誤りや十分に検討されていない表記が目立つことだろうか。しかし個人的には、飛鳥資料館の三燕文物展よりもはるかに充実感のある良い特別展だとおもう。
 名古屋では、松坂屋美術館(松坂屋南館7F)で12月6日(日)まで、会期中無休で開催中だ。また年明けからは、東京の江戸東京博物館で2010年2月2日(火)~4月11日(日)、山梨県立博物館で2010年4月17日(土)~5月31日(月)の日程で開催予定だそうだ。
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